応用生命科学・微生物バイオテクノロジー【220006】 Microbial Biotechnology【220006】

講義科目基本情報

科目区分 基礎 単位数 1
選択・必修 選択必修 授業形態 講義
開講時期 1年次春学期 講義室 L12会議室

科目の概要

担当教員筆頭者名 森 浩禎
担当教員 高木 博史、秋山 昌広、木俣 行雄、塚崎 智也、守屋 央朗(岡山大学)、谷内江 望(東京大学・先端科学技術研究センター)
教育目的/授業目標 科学と技術は切り離すことができない。科学の進歩があることで新たな技術が産み出され、また技術の進歩が新たな科学を発展させる。分子生物学からゲノム生物学、システム生物学へと発展する微生物科学の基礎を理解し、これからの科学技術を考える基盤を学ぶ場としたい。
指導方針 特に教科書を指定はしない。分子生物学からゲノム生物学、そしてシステム生物学を作り上げてきた本学の教員により、その激動の中の実体験を中心に、これからの研究開発の方向を考える場とする。

授業計画

備考 回数 テーマ 内容
1回 ゲノム生物学からシステム生物学へ (森)Introduction to Systems and Synthetic biology 1980年代に議論が始まり、1990年台に急速に進展したゲノム研究以降、生物学は急速に変化している。数学理論、情報処理技術、工学的アプローチ、 等々、学問分野を越えた考え方、手法などが要求される。ゲノム研究からシステム生物学への流れを解説し、今後の生物学の方向性を考える。 The concept of Genome Biology has been discussed during 1980s and once started in 1990, the next decade to clear the human genome has led revolution changes in biology. Biology has now become more and more interdisciplinary science and it requires integrative way of thinkings and skills. The history from genome biology to systems and synthetic biologies will be explained, and finally we will discuss about the direction of biology in the future.
2回 分子生物学からバイオテクノロジーへ From molecular biology to bio-technology 分子生物学の誕生と発展の歴史(秋山) 大腸菌や枯草菌などの微生物を活用した分子生物学の研究は、遺伝子の普遍的な概念の構築、および、DNA複製や転写のような基本的な細胞の生命現象の解明に寄与した。さらに、その研究の過程で誕生した遺伝子クローニングに代表される基本的な遺伝子操作の方法は、現在のバイオテクノロジーの重要な基盤技術である。本講義では、分子生物学の誕生と、ゲノム研究やシステム生物学へと発展したその歴史を振り返る。また、微生物を用いた分子生物学の研究から実社会にもたらされた有用なバイオテクノロジーの例として、微生物を使った化学物質の変異原性試験を紹介しながら、大腸菌の分子遺伝学を概説する。 The molecular biology of bacteria, such as E. coli and B. sub, has contributed to establish the concept of genes and the molecular mechanisms of fundamental biological functions of a cell. Technologies produced based on knowledges from analyses these microbes, are still essential for the current bio-engineerings. In this lecture, the molecular biology of E. coli, the history of molecular biology and its expansion to genome and systems biologies will be explained.
3回 バクテリアから真核生物へ; 真核細胞モデルとしての酵母  (木俣)From Bacteria to Eukaryotes; Yeast Saccharomyces cerevisiae as a model organism of eukaryotic cell. (Kimata, Y., PhD., NAIST) タンパク質など生体分子がどのように機能して細胞が活き活きと活動するのであろうか?分子生物学の黎明期から解析対象とされてきた大腸菌であるが、原核生物であるため、細胞周期や細胞内輸送を含む多くの生命現象において、ヒトを含む真核生物のモデルとしては不向きである。そこでクローズアップされてきたのが酵母である。単細胞真核生物である酵母を用いることにより、どのような生命科学が展開されてきたのか考察したい。 Though E. coli was an important target model organism from the beginning go molecular biology, it has limitation to analyze cell cycle, transport, etc., which are observed only in eukaryotes. By this reason, Saccharomyces cerevisiae, a uni-cellular eukaryotic cell, has become an important model organism for eukaryotic systems including human. In this lecture, molecular and system biology using Yeast cells will be explained.
4回 環境ストレスとバイオテクノロジー; 微生物の環境ストレス適応機構とバイオテクノロジーへの応用(高木)Environmental stress-adaptation mechanisms in microorganism and their application to biotechnology (Takagi, H., PhD., NAIST) 微生物は様々な環境ストレスに応答し、適応しながら、地球上の物質循環だけでなく、食品・医薬品・エネルギー等の工業生産、環境浄化やバイオマス利用において極めて重要な働きをしている。このような微生物の環境ストレス適応機構を概説するとともに、微生物の有用機能を活用した応用研究について紹介する。 With response and adaptation to environmental stresses, microorganisms play important roles in not only substance circulation on the earth but also industrial production for foods, pharmaceuticals and energy, environmental purification and biomass utilization. In this lecture, microbial adaptation mechanisms to environmental stresses will be briefly explained and applied research examples based on microbial functions will be also introduced.
5回 OMICS研究 技術革新がもたらした新たな生物学
ゲノムプロジェクトがもたらしたものは、単にゲノム配列だけではなく、それを得るために構築されてきた考え方、大量処理、微量解析、大量情報処理など多岐にわたる。それらの蓄積が1990年代後半に花開き出し、21世紀に入ると一気に加速し、現在も拡大している。ゲノム情報からの網羅性を持った研究材料開発から、それらの機能解明に移ろうとしたころ最初に転写制御関係の全体像に迫る研究が報告された。マイクロアレイ解析である。その後質量分析技術や配列解析技術の革新で一気にOMICS研究が広がった。歴史的な変遷を解説し、今後の方向性を考えたい。 Genome information has lead biology to comprehensive global analyses possible as omics fields, such as transcriptome, proteome, etc. And also technology innovation, especially DNA sequencing technology such as NGS (New Generation Sequencer), accelerate this field dramatically with previously unpredictable applications. Such innovating technologies will be explained and the future direction will be discussed.
6回 モデル化とシミュレーション;細胞システムのダイナミクスとロバストネス(守屋:岡山大学) Modeling and simulation; Dynamics and robustness of cell system (Moriya, H.: Okayama University)
システム生物学とは「生命を分子レベルから一貫したシステムとしてとらえる」ことを目指した学問分野である。では、システムとしてとらえる事で初めて理解される特性とはなんだろうか?それは、動きや形などの機能を生み出すダイナミクス、そしてその機能を安定に維持するロバストネスである。これらは基本的には、複数の遺伝子やタンパク質が構成する「制御ネットワーク」によって作られる。本講義では、いくつかの具体例を挙げながら、制御ネットワークが生み出す生命システムの特性について解説する。 Systems Biology is the field of biology to analyze cells or organisms as a system. Molecular or cellular dynamics generating their movement and structure, and their robustness are potential important target of this biology. These function are basically achieved by functions generated from the network system of genes and their products, proteins. In this lecture, features of biological systems produced by molecular and cellular regulatory network will be explained with some examples.
7回 膜の重要性(塚崎)Importance of biological membranes(Tsukazaki, T., PhD., NAIST) 生体膜は,細胞内小器官や細胞の内外を隔てている。生体膜ではエネルギー生産や様々な物質の輸送が常に起こっている。このような反応には多くの膜タンパク質が関わっているが,それら膜タンパク質がどのように相互作用し,機能を果たしているのかの詳細については未だ不明な点が多い。その解明にむけ,様々な研究手法が用いられている。本講義では膜を隔てた物質輸送の解析方法をいくつかピックアップして紹介する。 Biological membranes work as a boundary between the inside and outside of organelles or cells. At the membrane, there are a lot of different events, including energy production and molecule transport. Although a number of membrane proteins are related to these reactions, it is mostly unclear the detail of interactions between membrane proteins and other molecules, and of their functions. To understand these processes, many research technics have been developed. Here, I would like to present some recent analyses for transporters across the membrane.
8回 「超並列DNAシーケンサーによる分子・細胞計測技術の跳躍」(谷内江:東京大学)Innovation of technology of sequencing and measurement of cellular systems. (Yachie, N., Tokyo University)
次世代シーケンシング技術はパーソナルゲノムのインパクトとともに、短鎖DNAリードを大量に解読できるという特性がDNAバーコードという考え方によって様々な細胞のフェノタイピングを高速化した。今回の講義では、はじめに (1) ハイスループットバイオロジーにおけるDNAバーコードの様々な利用に触れたあと、(2) 複数の条件下でタンパク質ネットワークや複数の因子が関わる細胞のフェノタイピングを高速に測定するために私達が開発した「バーコードフュージョン法」を紹介する。またDNAバーコードを利用して (3) 細胞分化などの不均質な細胞集団の動態や発生を一斉にトラックする手法と (4) 1細胞レベルで細胞内トランスクリプトームを一斉に計測する手法を解説し、生体分子バーコードを利用した様々な最新の研究に触れる。

テキスト・参考書

テキスト 講義時に必要な資料を配布する。また、その他の資料は、本シラバスに登録するので、参照すること。
参考書 特に指定しない。

その他

履修条件 2/3以上の回の出席と講師より出された4課題以上の提出を条件とする。
オフィスアワー 講義終了後2時間までをオフィスアワーとする。
成績評価の方法と基準 成績評価の方法と基準:2/3以上の講義に出席した上で、レポート内容や受講態度などにより総合的に評価する。レポートは毎回の講義の最後に出題する。次回の講義の際に直接提出あるいはメールにて提出(hmori@gtc.naist.jp)。
関連科目 微生物科学特論
注意事項 特になし。